10/26/2012

結婚について語るときに僕の語ること


僕は27歳で結婚した。


僕は社会人3年目くらいで、職場でも認められ始めていると感じていた頃だった。

結婚するまで実家住まいだったので、他人と毎日同じ部屋で暮らした経験はなかった。

よく、新婚時代はたくさん喧嘩すると言うけれど、案の定、僕も例外ではなかった。

それまでは自分一人の部屋で、誰にも邪魔されずに時間を過ごしていたのだから、

慣れないに決まっている。

それで僕はよく怒っていた気がする。



男は左脳ばかりで考えるのか、怒っている時に
僕は理屈を立て、

―― いろいろ考えたがやはり自分のほうに理がある。そのうち嫁はそれを理解しなければならなくなるのだから、今は
僕が我慢しておけば、きっと向こうは自分の過ちに気付くに違いない。ここは大人になろう ――

たいていはそんな風に考えていた。


でも、そんな風に考える回数があまりに多く、その事自体が嫌になってきたので、

そのうち僕は自分自身の分析を始めた。


「なぜ僕は怒っているのだ」



いや、分析をしたのではなくて、本当は、ただ思い出したのだった。


— 僕は寝起きが悪い。

そのことは子供の頃から人に言われていたので、自分でも分かっていた。

ある時、また家で怒っている自分に気がつくと、その、寝起きのタイミングだった。


もしかしたら単にタイミングの問題じゃないのか。

そうして疑ってみると、
自分が不機嫌になるパターンがあることにに気づいた。


・眠い時

・腹が空いている時

・体が疲れている時


これだけだった。


それ以来僕は自分の機嫌が悪くなると、その3つに当てはまらないか考えてみることにした。

そして、どれかが当てはまれば、ああ、これは生理的欲求で、俺の理屈なんか、ただ早くそれ解消したいが為だけに組み立てられただけなんだよ、と、寧ろ、無駄なシナプスの運動にほのかな虚しさすら覚えてしまうようになった。


そうして、僕が怒りの中で確立していた理屈は、

専らこの3つの生理的現象で説明されるようになり、


そのうち使うかもと取っておく包装紙程度の意味になった。




そもそも夫婦生活は、言ってみれば幾分かは動物的なものだ。

家の中で相手より自分が正しいと思ったら、考えてみればいい。

「俺、腹減ってるんじゃないか?」


結婚、おめでとう。