4/22/2013

チリの嫌いなところ


もうすぐチリへ来て3年が経つ。

最近チリが嫌になってきた部分がある。
日本に帰りたいというわけではないのだが。

最初に書いておくと、チリは南米の優等生というのは本当で、
安全だし、それなりに整っているので、チリなら赴任してもいいという駐在婦人は結構いる。
でもそれでも苛立つことが増えてきてしまった。



まず交通マナーが悪い。 歩行者。基本的にこちらの人は、人間が優先されると思っているのか、
日本人なら止まるタイミングでも車を一瞥もしないで道を横断する。
そのせいで車道が軽く渋滞していても全く気にしない。
車の方に先に行くように促す人には年に一人遭えれば良い方だ。

車の方も結構ひどい。
とにかく早く行きたいのか、路地でも飛ばす。
徐行というものがなくて、停車するときも日本だったら急停車の勢いで止まる。
だから自分が歩いている時に、車が走ってくると、全く止まるように見えないので、怖くてまず横断できない。
スーパーの駐車場でも30キロくらい出しているから、子供が飛び出したら退かれる勢いだ。

なんというか全体的に他人への配慮が無いし、配慮という概念を知らないのかもしれない。

交差点で向こう側が渋滞しているのに無理に詰めて交通の妨げになったり
無理な割り込みをして車線を塞いだり

それから、車の流れを考えないので、交通量の多い路地でも、交差点の脇でも、どこでも停車して渋滞の原因になったりする。それで見通しが悪くなるので危険だ。

自転車も、最近は自転車通勤をする人が増えてきているのだが、もともと街が自転車が走れるようになっていないので、車道を走る。
車道は通勤ラッシュの車が走っているので、当然危ないのだが、全く気にしない。
後ろに何台も車が連なっているのに、なんであんなに気にしないでいられるのかわからない。

こういうことが日常茶飯事だ。


こういうことには慣れてきていたけれど、ある日から我慢ならなくなってしまった。

現地スタッフに聞くと、チリでもサンチャゴは酷いらしい。

スーパーでもカートを平気で邪魔なところに置いていくし
そのせいで通れなくて困っている人がいても気にしないし。
日本人はやりすぎだとしても、何故こんなに他人への配慮がないのか。
結構嫌になってしまった。

まぁチリという国が転換点にあるのだと思う。
新興国から先進国へ移り変わる時で、これまでは兎に角、俺が俺がでやってきたところから、調和を考える余裕が出始めてきている頃なんだと思う。

これは国籍関係なく、その国々の経済発展段階で同様な様相が観察できるような気がする。
日本人だって昔はよく立ちションしていたし。

2/17/2013

優秀な奴判別法

僕の上司による優秀な奴判別法がある。
これは結構正しいと思っているのだけれど
簡単に説明すると下のようなマトリックスになる。


仕事をしていれば、複雑な事情や複数の要素が絡まったり、理解に専門的知識を要することが起きる。そしてその事象を前提知識を欠いた責任者に説明しなければならない場面が往々にしてある。この時に、
複雑なことをそのまま説明するのは並の人材で、
複雑なことを簡単に説明できるのが優秀な人材で、
簡単なことをわざわざ複雑に説明するのは駄目な人材である。
というのが我が上司の見解である。

僕はこれは正しいと思う。
複雑な概念を正しく理解している人は頭が良い=優秀だと思われがちだが、組織としての事業に貢献しなければ意味がない。
全ての分野の精通している人間などいないのだから、例えば弁護士なら、法律用語を振り回して熱弁を振るっても、顧客の意思決定形成に寄与し、結果へ導けないなら、顧客にとっては価値がない。

最悪なのは、簡単なことを難しくやる人間で、害しかない。
僕の経験上、こういう人は結構な割合で存在する。

僕は関わったことないが、採用や異動ではこういう面で人を評価している筈だと思う。

またこの能力は外国人でも同じだ。むしろバックグラウンドを共有していない相手同士の方がこの能力が問われると言ってもいいのではないか。

ちなみに僕がこれまで出会ったチリの上層レベルの方々のなかで言えば、
真摯に説明をする人は多かったが、文化の壁を越えて「難しいことを簡単に」説明できる人間は殆どいなかったと思う。多数の国で活躍していた人でも、欧州モノカルチャーに近い中での経験となっていたのだろう、日本人の思考バックグランドが中々理解できていなかった様子だった。
ブラジルでは一人いた。彼は弁護士だが、たぶん国内でもかなり優秀だ。若いがファームのパートナーレベルになっているから実力も認められているのだろう。
殆ど初めて合う相手でも、相手が何を欲しているのか察するのが天才的に早い。

こういう「難しいことを簡単に」する為には、もちろん複雑な事象の中から本質を掴んでいなければならないが、それにもまして、結局は相手の話を良く聞いて理解することが必要だと思っている。
それには頭の「しなやかさ」が大切なのでは、と考えている。
ではそのしなやかさはどうすれば鍛えられるのだろうか。
僕の仮説は、いろいろな分野の知識を横断的に吸収することだ。
つまり教養か。

1/29/2013

駐在会社員の日常3 後輩の退職

後輩が退職する。

9月ごろ社内の評価面談をする際に、相談をされ、それから上司と話し、何度か話を重ねて、本人の意思固しということで、退職の運びとなった。
俺は、聞いた瞬間まぁそうだろうな、と思った。仕事上はいなくなるとキツいのだが、それ以前から、何か足りないな、と感じていた。

正直言って、こいつは足りない奴だった。
そしてチリに来る前も日本での評価は良くなかった。
それでも派遣してしまうのが、当社のダメなところだ。

こいつの何がダメかというと、物事を俯瞰して見れない。
考え方が全体から部分へ行くのではなくて、いつも部分から全体に広げるので、漏れが出る。
それも自分の視点から考えてしまうので、他人の立場から客観視する力が弱い。

相談をされた日も、休みの土曜の朝にこいつから電話がかかって来て、
今からちょっと時間があるかと聞くので、俺は分かったと返事をし、家族の用事を済ませた後、
折り返し電話をかけたら、「今日はもう外出しているので明日が良い、明日がダメなら月曜でも良い」と言う。
舐めてんのか。

出張者のアテンドを手配をしても、車の送迎手配がなっていなかったので、直すよう指示したのだが、その2日後に別の出張手配で同じように車の手配で抜けがあった。
それを指摘すると「あぁそうやってチェックすれば良いんですね」、だと。
お前自身をチェックしてくれ。

他にも幾つもあるが、まぁいいや。

俺の上司は、彼が辞めると言った時、会社を辞めるのは今の職場で上手く行かないのが理由じゃないのか、そうやって辞めると癖になって、また次も逃げて人生ダメになる、と親身になって言っていた。
とても良い上司だ。教育もすごく熱心にやっていた。俺も少しは手伝ったつもり。
でも俺は、そんなに引き止める気が無かった。
一旦気持ちが切れたらもうダメ、というのもあるが、それよりも、こいつが勉強してないから。独身で時間もあるのに、自分の趣味ばっかりで、仕事への投資は俺の知る限り少なかった。参考書籍を紹介しても「いいですね」「貸して下さい」とか。
人ごとか。

オメーが自分で探して自分で勉強せいや。と何度か思った。
赴任してくる時に準備するように指示した書籍類も、「日本の先輩に不要だと言われたから」といって準備して来なかった。
だれの部下になるんだお前は。

こんな調子だ。
だからある時、本人に、社命で来てるんだから腹を決めて精進せい、というようなこと言った。
結果的にそれが一つの引き金になったようだ。

どうあれ、会社としてはこいつに投資をしてきたわけである。時間も金もかけたのだ。
損失だ。
はっきり言って、俺が日本でこいつの上司だったら、相当鍛えられるまで海外には送らないだろう。
来る前にやめていれば他の人選もあったはずだ。

ただ、本人の名誉の為に言うと、性格はいい奴だ。友達にするには良い。
だけど上司にはしたくない。部下にするなら指導はするが、期待するのは難しい。
そして実は、俺の上司は、そのことを最初に見抜いていた。

逆に、こういう事が起きるのは、突き詰めれば
採用とか異動を決める側に人を見る目が無いからだ。

色んな会社があるだろうが
当社は残念ながら、俺も含めて、優秀な人材が海外に出る訳ではない。
年齢とか階級とか、会社側のスペックに合う奴で、出せる部署で、希望している奴が行く。
優秀さは、その時点で人選できる余地が残っていれば初めて考慮されるのだ。

どうあれ、本人にも会社にも無駄なので、
良い経験だったな、なんて俺はとても言ってやれない。