8/15/2010

センセ

今週は感動したことが二つありました。

一つはセンセ関係。
センセとはSENCEのこと。
英語のsenseではなくて、チリにSENCEという制度があるのです。
SErvicio National de Capaciation y Empleo の略の様です。(http://www.sence.cl/)
日本語にすると「雇用及び職業訓練に関する公的支援」とでもなるのでしょうか。

僕の知る限りの説明をすると
この制度は、企業人件費の1%を上限として、当該企業の従業員研修費を政府が負担するというものです。正確に言うと政府が負担するというよりは、当該金額を法人税額から控除できるという仕組みです。
この仕組みをSENCE(センセ)と呼ぶようです。
SENCEでは研修を受ける従業員の給与水準に応じて、補助が受けられるパーセンテージが決まっていて、給与が低い人については100%政府負担、中くらいの人は50%、そして高給取りは15%となっています。例えば、英会話講座を受講するとして、一人10万ペソとすると、薄給の人が受講すると10万ペソそのまま法人税から引けて、真ん中の人については5万ペソ引け、高給の人は、1.5万ペソ引けるというわけです。

この仕組みでは、政府負担の上限金額が企業の総人件費(基本給のみかも知れません)の1%となっていて、かつ、薄給の人ほど恩恵を受けやすくなっています。また同時に、企業としても節税というインセンティブがありますので、非常にいい設計だなと思います。

といっても、企業には制度を利用する義務がないので、経営者が使わなければそれ済んでしまいます。
もし経営者が単純労働者に研修は必要ないと決めてしまっていれば、従業員は恩恵を受けることができません。

そして我が事務所は今までこの制度を活用していませんでした。
僕が事務所の支配人になった時に(いや、これマジな話、いま支配人になってるんです、なんか)各従業員の仕事の整理をしたくて、過去の社内教育および個人の経歴について担当者に簡単な説明をしてもらいました。その際に、この制度の存在を知ったというわけです。

それからその担当者に、英語とMS ExcelについてSENCEの活用を検討するよう指示し、しばらくして、担当者は僕に英語講座の見積もりだけを持ってきました。Excelについては別の方法があったのでまあいいやということで、さらっと流しましたが、数社の見積もり内容を、担当者さんと少し検討して、とりあえず1クールやってみることに決めました。
すると担当者は僕に「ありがとう」と嬉しそうな顔で言ってくれたのです。

次の日、講義参加者を募ったら、なんと従業員ほぼ全員が参加の意思を示しました。
現地スタッフで一番偉い奴まで(高学歴だから必要ないと思ってたのに)予想外に参加したいと言ってきて
「これは良いことだ、ありがとう。絶対必要だ。今まで何回も日本人に見積もりを渡したり、説明したりしてきたけど、やってくれなかった。俺も英語を送付少しは喋れるけど使わないとやっぱり錆びるから、必要だよ。良いことだ。ありがとう」
と感謝されてしまいました。

僕としては、前に書いたように、いま事務所ではほぼ日本人一人で働いていて、自分がやるべきじゃない細かい仕事を、部下に渡すために必要だと思ってやったので、予想外にかなり感謝されてしまい、少し戸惑いました。
自分に見識があるとか、博愛主義者だからではなく、要は事業環境が変わって必要になったのであって、前任者と同じ環境にいたら、この決定はしていなかったかもしれません。

チリでは公教育のレベルが低く、おそらく貧富の差が大きい為に自費で受けれられる層も限られ、(といっても英会話学校は結構ありますが)社内教育で英語研修をしている企業も少ない一方、英語を喋られれば雇用機会が広がるため、沢山の人が英語教育を受けたいと望んでいます。

そういう意味では社内で英語講義を開催することは人材流出リスクがあります。
その為、通常、何らかの教育を受けされるときは、転職に対する制限をかけます。例えば○○年以内に転職した場合は、研修費用のXX%を支払わせる等。これは日本でもMBA留学者なででよく聞くきくそれです。
今回の英語の講義の受講者について、そういう制限をかけるかどうか考えていますが、まぁ「やってみなはれ」と自分に対して思っています。

とにかく
僕が一番気に入ったのはSENCEの発音が「先生」と似ていたからで、
自分がまぁやってみるかと思った理由は、たぶんそれだけではないかと。

もう一つの感動したことも話が長くなるのでまた次回。


でもさ、信じられる?これ全部スペイン語でやってるんだぜ。
(タッチのあの台詞みたいに)

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